研究職を目指しているけど英語苦手なんだよね
企業の研究職ってどのくらい英語使うの?
研究室時代に論文は読んでたけど、実際に仕事で使うイメージが湧かない方も多いと思います。
- 研究職に英語は必要?
- どのくらいの英語力が求められる?
- 英語を使う場面は?
- 英語が苦手な人はどうしたらいい?
- 英語が得意な人はどうしたらいい?
本記事ではこんな悩みを解決していきます。

入社時のTOEICは940点で1年目から海外案件を担当、2年目には国際学会での発表も経験してきました。
企業の研究職として実際に英語を使ってきた経験をもとに、皆さんの悩みを解決します。それでは行きましょう。
研究職に英語は必要か?
まず結論です。
研究職にはあるリーディングの基礎英語力は必須です。
それ以外(以上)は英語力はレベルが高ければ高いほど就職・転職・昇進に有利となります。
「英語嫌いだから理系に来たのに……」
そんな方もいるかもしれませんが、企業の研究職と英語は切っても切り離せない関係にあります。私の周りも「中学英語すら全く理解していない」といったレベル方はいません。
一方で英検1級のような高度な英語力が求められることはビジネスはほとんどありません。本記事では英語を使う場面や場面ごとで求められる英語レベルを解説していきますので、研究職の英語事情のイメージを掴んでください。
研究職が英語を使う場面

研究職が英語を使う場面に主に次の3つです。
英語を使う場面①:英語論文/装置の取説を読む時
英語を使う場面②:学会参加・学会発表の時
英語を使う場面③:海外出張・海外ユーザーとの取引時
それぞれ詳しく解説してきます。
英語を使う場面①:英語論文/装置の取説を読む時
研究職が英語を使うシーン①は英語で論文を読む時/装置の取説を読む時です。これは大学院で研究をされてた方なら経験があると思います。
担当するテーマが基礎研究に近いほど、英語学術論文を読む機会は増えます。一方で、ある程度開発検討が進んでいるテーマでは論文を読む機会はそれほど多くありません。
私自身、テーマによってはほとんど論文を読まずに進めている仕事もあります。スケールアップ検討などは英語論文を読むといったよりはテキストや専門書を読むことが多いです。
また、実験装置の取説などが英語であることも多々あります。企業の製品開発では結構マニアックな評価装置も多く、海外製のものだと取説は英語しかないことがほとんどです。
使い慣れている装置であればそこまで問題ありませんが、故障時などは英語の説明書とにらめっこすることになります。
英語を使う場面②:学会参加・学会発表の時
研究職が英語を使うシーン②は学会です。
国際学会は当日の発表&質疑応答だけでなく、要旨と資料作成も英語で行う必要があります。
また、国際学会だけではなく国内の学会や展示会なども英語が必要になるシーンはたくさんあります。例えば、日本の学会でも海外の人は英語で要旨を提出しますし発表ももちろん英語です。欧米の方だけでなく、韓国、中国、インドの方もみな英語で話されます。科学技術の世界では英語が標準語です。
また、展示会などは海外企業が出展していることも多く、英語でないとコミュニケーションがとれないといったことも頻繁にあります。
英語を使う場面③:海外出張・海外ユーザーとの取引時
研究職が英語を使うシーン③は海外出張や海外ユーザーとのやり取りする時です。
研究職の場合、若手の方が海外出張に行くことは少ないです。基本的には中堅~管理職レベルの方が現地に行くことが多いです。一方で、海外の取引先とのメールやWebミーティングをする機会は若手からでもたくさんあります。
海外ユーザーとの取引時には、英語での高いコミュニケーション能力が求められるため学会発表などよりもより一段上の英語力が求められます。
研究職に求められる英語レベル
英語を使う各場面で求められる英語力は以下のようになります。
英語を使う場面①:英語論文/装置の取説を読む時
TOEIC600レベル:基本的なリーディング力+専門単語がわかればOKなレベル
英語を使う場面②:学会参加・学会発表の時
TOEIC600~750レベル:プレゼンで使用する基本的な表現、ある程度の発音が求められレベル。プレゼンは事前に原稿を作れるためスピーキング力はそこまで必要ない。
英語を使う場面③:海外出張・海外ユーザーとの取引時
TOEIC800~900レベル:英語で相手の意見を聞く、それを理解して自分意見を伝えて、自社の利益に繋がる高いレベルでのコミュニケーション能力が求められる。
場面①にような学術論文の取説を読む場合は、リーディングは基礎レベルで十分です。シーン①ではリーディング力以上にその分野で使われる専門単語の習得が大事になります。
「研究の畑が違うだけで、さっぱり論文が読めない」
こんな経験をしたことのある方も多いはずです。専門単語の習得はマストになります。
場面②では英語でのプレゼンテーション能力が求められます。プレゼンと聞くとハードルが高く聞こえますが、プレゼンは特有の言い回しを覚えればそれほど難しくはありません。
また、場面②の学会発表で軽視できないのは発音です。
学会のオーディエンスがネイティブとは限らないので発音がしっかりしていないと聞き取ってもらません。インド訛りや中国訛りの強い英語は全然聞き取れないのと同じように、あまりにも発音が悪いと聞き手も理解できない可能性があります。
場面③のような海外出張・ユーザー取引においては、高いリスニング力/スピーキング力の両方が求められますが、特にリスニングは相手のレベルに合わせて聞き取りをしないといけないため、より高いレベルが求めらます。
TOEIC リスニングスコアで言えば9割以上は取れて必要があるでしょう。私自身、TOEICのリスニングは満点を取っておりますが、早口なネイティブや訛りが強い方の英語は聞き取れないことがほとんどです。
英語が苦手な人はどうすればいい?

対策① 英語力を上げる
対策② なるべく英語から遠い環境に身を置く
対策① 英語力を上げる
1つ目の対策は英語を勉強して英語力を上げることです。学会発表やユーザーとのやり取りではある程度の英語力が求められますが、数ヶ月程度の勉強で十分到達すること可能です。
ビジネスで使う英語は英検1級のような難しい単語を知っている必要はありません。メールでもWeb会議でも決まったフレーズを覚えて使えればそれでOKです。
大事なことは「相手とコミュニケーションを取ること」であって、かっこいい英語を使える必要はありません。
英語学習の時間が取れる方や若手でまだまだこれからキャリアを積み上げていく方は、時間を取って英語力を上げることをおすすめします。
対策② 英語から遠い環境に身を置く
英語が大切なことはわかっていも「どうしても英語だけは受けつけない/やりたくない」、という方もいるでしょう。
そのような方ができる対策としては、なるべく英語から遠い環境に身を置くことです。
- 海外取引のある部署はなるべく避ける(または異動する)
- 海外取引のある部署の中でも国内担当を率先してやる(日系企業であれば、海外だけの部署は少なく、国内の取引先があるのがほとんどです)
- 研究力で生きていく(そもそもユーザーの前に立たない・実験屋)
- 基礎研究をしている部署に行く
英語が苦手な方は上記のような戦略を取ることも可能です。研究職みんながみんな英語をバリバリ使って仕事しているわけではありません。やはり英語が得意な人が英語を使った仕事を任されます。
語学が苦手な分、研究力をアピールしたり、国内ユーザーの担当を引き受けるなどして英語から距離のある役割を見つけていくのがよいでしょう、ただ、研究職である以上、最低減のリーディング力だけマストなのでここだけは頑張って身につけましょう。
英語が得意な人はどうしたらいい?
- 英語力をアピールしてどんどん英語を使った仕事を経験する
- 外資系企業へ転職する
英語が得意な人はどんどん英語力をアピールしましょう。そして、率先して英語の仕事を引き受けると良いです。英語で仕事ができるようになると、英語学習の時間が不要になり、自然と英語力が向上します。
私自身、TOEICの点数が評価され入社1年目から海外ユーザーとのやり取りを担当するようになりました。
研究職は理系の方がほとんどなのでどうしても英語が苦手な人が多く、「研究・技術的な話ができて、かつ英語が話せる人」はかなり貴重な存在となります。
必然的に市場価値も高くなるので、昇進もしやすくより高待遇な企業への転職もしやすくなります。
今、英語が苦手な方も上記のようなメリットがあるので、英語力を底上げしておくことをお勧めします。
まとめ
本記事で解説してきたように、研究職にはあるリーディングの基礎英語力は必須で、それ以外(以上)はレベルが高ければ高いほど就職・転職・昇進に有利となります。
研究職が英語を使う場面とその時に求められるレベルは以下の通りです。
英語を使う場面①:英語論文/装置の取説を読む時(TOEIC600レベル)
英語を使う場面②:学会参加・学会発表の時(TOEIC600~750レベル)
英語を使う場面③:海外出張・海外ユーザーとの取引時(TOEIC800~900レベル)
そして英語が苦手な人は①英語を勉強するか、②なるべく英語が距離を取るかで対策を取りましょう。研究職では英語が苦手な方でも活躍している方はたくさんいます。自分にとって居心地のよい場所をぜひ見つけてみてください。
最後に英語が得意な方はどんどん英語力をアピールして、英語を使った仕事をしていくことをおすすめします。英語を使って仕事ができるようになる会社内では重宝されるはずです。
自身の市場価値を高めるためにチャレンジしてみましょう。